米景気後退の予兆?長短金利が一時逆転

2022-06-14 17:09:58 guanli 33

【ニューヨーク時事】29日の米債券市場で、2年物国債利回りが上昇し、一時的に10年物国債利回りを上回る「長短金利の逆転(逆イールド)」が起きた。

米中貿易摩擦が激化した2019年9月以来2年半ぶり。近い将来に景気が後退する予兆とされており、米連邦準備制度理事会(FRB)の急激な金融引き締めによる景気冷え込みを懸念する声が出ている。

債券利回りは、年限が長い方が高くなるのが通常だが、29日は2年債利回りが一時2.39%付近まで上昇し、10年債を上回った。

2年債利回りは、米金融政策の影響が大きいのに対し、10年債は市場関係者の景気見通しが反映される。二つの利回り逆転は「FRBが利上げをした後、間もなく景気が悪化する」(米銀エコノミスト)との市場の見方を示しているとされ、市場関係者の注目度は高い。

ただ、最近の金融市場では、FRBによる金融緩和から引き締めへの政策転換やロシアのウクライナ侵攻などを背景に、相場変動が大きくなっている。

フィラデルフィア連邦準備銀行のハーカー総裁は29日の講演で、警戒感を示しつつも「完全な予測ではない」と述べ、長短金利の逆転も一つの現象にすぎないとの見方を示す。市場でも「そのほかに景気後退を示すシグナルはほとんど見られない」(米エコノミスト)と過度な反応を戒める声が少なくない。